リアルイベントを開催する場合、Webサービスを利用すると、運営にも参加者にも利点があるはず。
その際に、どうしたらいいんだろうかな。と考えたことを自分なりにまとめてみようと思います。
○「連絡」と「広告」
まず、具体的な内容より先に考えたいのが「これから出す情報が、『連絡』なのか『広告』なのか」という点。
ここを間違うと、大きな問題を招くことがあります。
「連絡」は、具体的に伝えたい相手が居て、その人に必ず受け取ってもらいたい内容です。
例:展示時間が変更になり、それに伴い集合時間が変更になりました
「広告」は、不特定多数のより多くの人に伝えて、興味がある人がそれに応じて貰えばいい内容です。
例:当イベントは○月○日の○時から一般来場者に公開になります。
「連絡」の内容が、「広告」で伝達された場合、参加者に行き渡らずに誤った内容のまま更新されない可能性があります。
また、「広告」の内容が「連絡」で拡散された場合、特定の人にしか伝わらず、目標としている「参加者が増えてほしい」という目的には繋がりにくくなります。
これから出そうとしている情報が、どちらに当たるのかを考えて、最適な情報の出し方をするのが重要となります。
○「広告」向けサービスと、「揮発性」
「広告」に使うサービスにも特徴があり、できない訳ではないですが、得意不得意があります。
「合わせる利点」よりも「合わない場合に起こる違和感」の方がマイナスになると思っています。
・ Twitterの場合
TwitterというSNSは「揮発性が高い」と言われています。
ここで言う「揮発性」というのは、目に留まる可能性が高い時期が短いことを例えた言い方になります。
Twitterの基本は、時系列で掲載される「タイムライン」なので、フォロワーが多い人ほど「最上位に表示されている時間」は短いですし、わざわざ前回の読み込んだ場所まで探るということも少なくなります。
また、一度見逃されたツイートは、プロフィール画面に行くか、フォロワーがRTしない限り、その人が見ることはありません。
これを、前述の「連絡」で使用すると、「対象の人が一度も見ない」ということが起こる可能性が高いことがわかると思います。
さらに、イベントの主催者が「普段使用している個人的なアカウント」でイベントの詳細を告知することも、似た理由でオススメ出来ません。
「参加するイベントの情報を探すために、その他のツイートを掘り返さないと見られない」というのは、苦痛にしかなりません。
現在Twitterでは、Webもアプリも「複数アカウントの切り替え」が出来るようになっているので、イベント名のアカウントをなるべく早期のうちに作成することをオススメします。
また、Twitterアカウントを「広報」に使用するためには「育てる」ことも必要です。
誰もフォローしていないアカウントでどんなにスゴイことをツイートしても、伝わることはありません。
そのため、「内容」や「地域」でツイート検索をして興味がありそうなアカウントをフォローしていくのをオススメします。
Twitterの検索コマンドで「near:場所」と入れれば「指定された場所の近くでのツイート」が検索出来るのを利用すると、結構絞り込めます。
内容で絞り込んでいると、比較的高い確率でフォローを返してくれることが多く、フォロワーを増やすことが出来ます。
個人アカウントなどで、「フォロー返しが無いとフォローを外す」という行為を行う人が少なからず居るようですが、広告用アカウントとして作っていれば、そのアカウントでタイムラインを読むことは少ないと思うので、わざわざ外す必要も無いと思います。
「フォロー→フォロー返ししないとフォローを外す」という行為に関しては、不快感を持っている人も少なくないので、嫌われる必要も無いでしょう。
また、フォローしてきた人、いいねしたひと、RTしてきた人などなどは、怪しいアカウント以外はフォローしていきましょう。
少なくても「コチラの内容を見て、興味を持っている人」なのは間違いないですので。
このフットワークの軽さも「読むためのアカウントとして運用していない」ことにより出来ることです。
・ Webサイトの場合
SNSの「揮発性の高さ」を補完できるのが、「Webサイト」の存在になります。
「フォローしている人の情報を並べる」というスタイルのSNSと違い、Webサイトは「出したい情報のみ」のページを作ることができます。
また、既出の情報をまとめておくことで、「知りたければここを見てください」とURLを提示することも可能です。
かつては、フリーのレンタルサーバも多くあり、簡単なHTMLで作られたサイトも沢山ありました。
しかし、近年ではWebサイト制作が高度化したこともあり、HTMLだけでは見劣りしてしまう…と尻込みするかもしれません。
そこを埋めるようなサービスとして、最近ではWordをで文書を作成するようにサイトを作れる無料サービスもあります。(例:Wix Jimdo)
こちらは、SNSなどでは探しにくくなる過去の記録や、写真などを掲載していくのもいいと思います。
・ それぞれの「主従」
どういった使い方をするかというのもありますが、複数の媒体を使う場合の注意点は「主従をはっきりさせること」が重要です。
「Twitterで情報初出」→「詳細をまとめたページをWebサイトに掲載」
「詳細のページをWebサイトに掲載」→「Twitterで更新を通知」
このような使い方が、見る側も管理する側も扱いやすいと思います。
これが散り散りになると、
「Twitterをフォローしていたのに、いつの間にかWebサイトが更新されていた」
「Webサイトを毎日欠かさず見ていたのに、Twitterで大々的な発表されていた」
というのも避けることが出来ます。
また、「主従」とは若干違う点ですが、「初出情報は必ず公式的な部分から出す」というのも重要です。
例えば、「開催日」や「開催時間」という決定された情報が、関係者の個人アカウントから発信されたものの、「公式アカウントからは一向に発信されない」というのは、「なんのための公式アカウントなのか」ということになってしまいます。
○「連絡」向けサービスと、「リテラシー」
・ やり取りの双方向性と一本化
「連絡」は「双方向でやり取りができる仕組み」を最初から使うのがベストだと思います。
不可能ではありませんが、「発信はWebサイト、受信はメール」というのも可能ではありますが、こちらからの連絡の「既読確認」を取ることは難しくなっています。
主催側から、必要事項が確実に伝わっている、読んでいるというのがわかる仕組みのほうが使いやすいかなと思います。
該当するのは、LINEやTwitterのDM、グループウェアなどになるかと思います。
ただ、相手に合わせて多数の媒体を連絡手段にしてしまった場合、管理側の手間も増えてしまうので、一本化したほうがいいでしょう。
・受付など一方的な受信の場合
イベントなどでは、「多くの人が参加出来るように、受付間口は大きくしておきたい」と思いがちですが、種類が多ければ多いほど受付側の負担は上がりますし、「先着受付」といった募集をした場合にどういった基準で判断するのかなど、いろんな問題を持ち、そこから不満や不信が生まれる可能性もあります。
前述のやり取り連絡が出来るツールが、メールのように登録等が不要で投稿が出来るのであれば、それを使用しても問題ないと思います。
SNS等のアカウントが必要といった条件不要での受付募集であれば、メールフォームを設置するのが妥当だと思います。
メールフォームは、Webサイトを持っていなくても、Googleフォームといったサービスを使用することも出来ます。
ただ、前述したとおり、メールフォームを使用する場合はSNSやWebサイトでの告知時にはメールフォームのリンクを必ず記載し、「メールフォームから応募以外は無効」といった形で一本化する方がわかりやすく、管理もしやすくなります。
・使用媒体による「リテラシー」
上記でSNSで受け付けるという話を記載しましたが、当たり前ですが「そのSNSを使用していること」が前提での申し込みとなります。
TwitterのDMの募集であれば、Twitterを使用する技術・マナーが最低限ある人が応募してくるということになります。
インターネットを中心に募集をするのと、広報誌やチラシを中心に募集するのでは、応募してくる層が異なることが想像出来ると思いますが、インターネットでも、使用する媒体によって層が変わることが想像出来ると思います。
「多くの人沢山に応募してほしい」という気持ちも分かりますが、ある程度「自分たちと考えの近い人達」を集められるような状況を作ったほうが、実際の運営もやりやすいと思います。
○動画・音声による告知
近年では、動画・音声配信も容易に出来るようになりました。
結論から言えば、どちらとも連絡・広報ともに単独で使用するのはおすすめできません。
必ず、文字情報(WebサイトもしくはSNS)で同様の内容を告知するようにするのが良いでしょう。
動画や音声の特徴として、「再生時間がかかる」ということがあり、文字情報のように「短時間で要点を把握する」ことがやりにくくなっています。
また、ライブ配信の場合、「配信しているその時間に合わせる」という必要があり、参加者すべてがその時間に合わせることは、人数が多くなればなるほど困難になります。
ライブ配信の場合、「あとから見られること」は非常に重要となりますが、
「参加者全員に確認してもらいたい内容」が
「2時間の動画のところどころで触れられている」
「動画以外の情報は無い」
というのは、「伝わらない可能性のほうが高い」と考えた方がいいでしょう。
ですので、動画・音声は「初出情報の発表」といった「お祭り的演出」には向きますが、「連絡」や「広報」に関しては、文字情報で告知したほうがいいでしょう。
○まとめ
・「連絡」と「広告」を分けて、適切なメディアを使用する
・情報は集約し、情報を初出するメディアを固定する。
・動画を使用するときは補助的に使用する。
運営・参加者が、お互いに楽になれるように仕組みを使うといいんじゃないかな。という話でした。